2U chocolate はBean to Bar スタイルでは珍しく、

「アルミジップの袋」
「4g程度の一口サイズのチョコレート」を入れる。

という方法でチョコレートをお届けしています。

実はこれ、品質面と機能面にこだわってたどり着いたスタイルなんです。

 

簡単に言うと、

アルミジップの袋

・保存性がよく、香りや風味が長持ちする
・再保存しやすく、少しずつ食べることができる

4g程度の一口サイズ

・食べやすく、口の中での香りの広がりを存分に楽しめる
・少しずつじっくり食べられる

という狙いがあり、チョコレートをおいしくお召し上がりいただくのに一役も二役も買っているんです。

 

「おいしい」をお届けするためにこだわったチョコレートの形について、以下でさらに詳しくご紹介していきたいと思います。

※パッケージのこだわりについては以下をご覧ください。

パッケージのこだわり

 

チョコレートにおける「形」の重要性

2U chocolate ではカカオの個性を最大限に引き出し、その香りや風味を存分に楽しんでもらうことを目指しています。

各製造工程に工夫を凝らしおいしいチョコレートに仕上げるわけですが、わたしたちがいくら丹精込めてチョコレートを製造しパッケージに詰めたとしても、その段階でのチョコレートはまだ価値を発揮していません。

チョコレートは口の中で溶けて、香りと風味が広がってはじめて「おいしい」という価値を提供できるのです。

 

ここで、香りと風味の広がりに大きく関わってくるのがチョコレートの「形」です。

ひと口サイズのチョコレート

というのもチョコレートは口の中に入った後、咀嚼され唾液と混ざり合うなかで状態が著しく変化し、その過程で出てくる香りが段階的に変化していくため「口の中に入る量」と「咀嚼のされ方」によって香りの出方(いわゆる「フレーバーリリース」)が大きく変わるからです。

この「フレーバーリリース」の考え方をベースに、カカオの香りや風味を最大限に楽しんでもらえる大きさと形状を検討し、食べやすさやパッケージとの親和性も加味したうえで「4g程度の一口サイズ」が現時点でのベストだと結論づけました。

 

「現時点での」としているのは、この形にはデメリットもあり(後述します)まだまだ改善の余地があるのではないかと感じているからです。

 

もちろん引き続き検討は進めていきますが、現時点でのわたしたちの考えについて、チョコレートの口の中での状態変化とそれに伴うフレーバーリリースを中心にさらに詳しくご説明します。

 

チョコレートの香りの出方(フレーバーリリース)

チョコレートは口の中に入った後、大まかに分けると以下のように段階的に状態が変化し、感じられる香りや風味が変わっていきます。

 1. 噛み始め(トップ):ココアバターが溶けて脂溶性の香りが放出される
 2. 咀嚼され唾液と混ざり合う(ミドル):乳化状態となり水溶性の香りも放出される
 3. 食べ終わり(ラスト):舌の上にわずかに残ったカカオマス粒子の味と香りが残る

この段階的かつ著しい風味の移り変わりもチョコレートの魅力のひとつであると言えます。

色々な香りが出てきては消えていく様は、発見や気づきも与えてくれるとても楽しいおいしい体験です。

 

ではその変化は具体的にどのようにして起こっているのでしょうか?

それぞれ簡単な図とともにより詳しく見ていきましょう。

※実際には非常に複雑な状態変化が連続的に起こっていますが、わかりやすくするために3段階に分けて説明しています。

 

1. 噛み始め(トップ)

チョコレートはココアバター中にカカオマスと砂糖の粒子が分散した構造をしています。

チョコレートの模式図
チョコレートの微細構造

このココアバターは32〜33℃で融解するという特徴を持っているため、チョコレートを口の中に入れて噛み始めるとまずココアバターが溶けてココアバター中の脂溶性香気成分が放出されます。

口中でのフレーバーリリースの模式図
噛み始め時のフレーバーリリースとチョコレートの状態

そして口腔内に広がった香気成分は鼻腔内の嗅球に到達し、香りとして感知されます。

 

一方、この段階ではまだ唾液の分泌が少なく咀嚼も進んでいないため、水溶性の成分はココアバターに取り囲まれた状態となっています。

そのため水溶性成分由来の香りや味はこの段階ではまだ感知されにくいわけです。

 

2. 咀嚼され唾液と混ざり合う(ミドル)

咀嚼を進め、口腔内に唾液が多くなってチョコレートと混ざり合っていくと乳化状態が反転し(「転相」と言います)、今度はココアバターが唾液に取り囲まれる状態になります。

口中でのフレーバーリリースの模式図
咀嚼が進み唾液と混ざりあった状態でのフレーバーリリースとチョコレートの状態

すると脂溶性香気成分の放出は弱まり、今度はカカオマス粒子や砂糖粒子中の水溶性香気成分が唾液中に抽出され口腔内に広がります。

そして口腔内に広がった水溶性香気成分は鼻腔内の嗅球に到達し、香りとして感知されます。

 

チョコレートをじっくり噛んで味わっていると、あるところで「香りが大きく変わった」と感じるのはこのように唾液と混ざり合うことで乳化状態が反転し、香りの主体が脂溶性香気成分から水溶性香気成分に変わるからです。

そして多くの場合、脂溶性香気成分由来の香りと水溶性香気成分由来の香りとでは強さや質感が大きく異なるため、その変化をとても顕著に感じるというわけです。

 

さらにこの段階では唾液中の酵素の働きによって香気成分や呈味成分の化学変化も起こります。

このような様々な変化が複雑に絡み合い、チョコレート独特の風味が広がるわけです。

 

3. 食べ終わり(ラスト)

咀嚼がさらに進み全体が液体状になっていくと嚥下が進んでいきます。

そして飲み込んでしまった後に残る風味がいわゆる「後味」となります。

口中でのフレーバーリリースの模式図
食べ終わり時のフレーバーリリースとチョコレートの状態

この後味の正体は、口腔中や鼻腔中に残っている香気成分由来の香りと、舌の上にわずかに残った固形分の呈味成分由来の「味」です。

嚥下時、ココアバターは液体状で唾液とともに流れやすくなっており、また砂糖は唾液に溶解して流れてしまいます。

一方カカオマス粒子はココアバターにも唾液にも溶けず分散しているだけなので、固形分として舌の上に残りやすくなります。

つまり「後味」を構成している主な要素は、カカオマス粒子による「味」ということになります。

カカオマス粒子の「味」は、噛み始め時の脂溶性香気成分由来のの香り(風味)とも、唾液と混ざりあった時の水溶性香気成分由来の香り(風味)とも異なるため、後味でもまた「風味が変わった」と感じることが多いわけです。

以上のようにチョコレートは口の中で咀嚼され唾液と混ざり合うことで複雑な香りや風味を放出します。

これを踏まえてわたしたちは、カカオの香りや風味を存分に楽しんでもらうには、咀嚼しやすい程々の量を一度に口の中に入れてもらう必要があると考えました。

もし口の中に入れる量が少ないと、十分に咀嚼され唾液と混ざり合う前にココアバターが溶けて嚥下が進んでしまい、水溶性香気成分を満足に感じられなくなってしまいます。

一方口の中に入れる量が多すぎると唾液と十分に混ざり合うまでに時間がかかるため、香りの移り変わりが緩慢になってしまい、「変化」を楽しみにくくなってしまいます。

チョコレートの量とフレーバーリリースの関係
口の中に入れるチョコレートの量とフレーバーリリースの関係

少なすぎず、多すぎない、程々の丁度よい量を口の中に入れることで、チョコレートが持つ全ての香りや風味を、その移り変わりも含めて最大限に楽しんでもらえるというわけです。

この「程々の丁度よい量」というのは、もちろん個々人の口の大きさや好みによるところもありますが、わたしたちは種々検討の結果、4g程度が適当だと結論づけています。

そして4gという量をどのような形に固めるか、ということに関しては、適切に咀嚼してもらえるように、現在の厚すぎず薄すぎない形にしております。

 

「4g程度の一口サイズ」のデメリット

ここまで「4g程度の一口サイズ」のメリットを述べてきましたが、残念ながらこの形にはデメリットも存在します。

それは、

・「パキッ」と割れるスナップ性を楽しみにくい
・キズや欠けが生じやすく、ツヤッとしたキレイな見た目は楽しみにくい

の2点です。

 

「パキッ」と割れるスナップ性を楽しみにくい

チョコレートの楽しみのひとつに「パキッ」と割れる「スナップ性」があります。

「パキッ」と爽快に割れて口の中に入り、滑らかに溶けていく、という食感の変化はチョコレートだからこその特徴であり、それは特に大きめの板チョコをかじった時に感じられる楽しみだと思います。

 

一方で大きめの板チョコの場合、かじらずに手で割る方も多くいて、その場合食べる前にひとつ手間がかかっているとも言えます。(もちろん「パキッと割る」という行為にも楽しさはありますが)

わたしたちとしては「手軽さ」をより重要視し、板状ではなく一口サイズにすることにしています。

 

キズや欠けが生じやすく、ツヤッとしたキレイな見た目は楽しみにくい

チョコレートの魅力の一つに「ツヤッとしたキレイな見た目」というのがあると思います。

キレイに成型されたツヤツヤのチョコレートは見ているだけでうっとりとする美しさがありますよね。

しかし2U chocolate の現在の形、パッケージ方法ではキズや欠けが生じやすいため、残念ながらこの点は大きなデメリットであると言わざるをえません。

個包装はしていない
個包装されていないチョコレートがまとめて入っているため、キズや欠けが生じやすい

解決策として個包装したものをアルミジップ袋に入れるという方法も考えましたが、個包装をほどく手間がかかってしまうこと、過剰包装の問題、個包装したとしても完全にはキズを防ぎきれないこと…等を総合的に勘案し、現状ではこのデメリットを受け入れることにしています。

全てを完璧にすることが難しいなかで、わたしたちが目指す「カカオの個性を最大限に引き出し、その香りや風味を存分に楽しんでもらう」というところにフォーカスした取捨選択を行って、現状の形に行き着いているというわけです。

2U chocolate の形に対するこだわり、いかがでしたでしょうか?

カカオの香りや風味を存分に楽しんでもらいたい

おいしいチョコレートを通じてあなたにしあわせを届けたい

この想いを実現するために検討に検討を重ねた結果が、今の形には詰まっています。

 

もちろん最後に述べたようにこの形にはデメリットもあるため、さらなる可能性を求める日々の探求をやめることはありません。

そんなこだわりの形に固めたこだわりのチョコレートを、ぜひじっくり存分に味わっていただければと思います。

 

 

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